2008/01/13

ちょっとした【読書感想】天谷直弘『「坂の上の雲」と「坂の下の沼」』

戦後直後から、80年前半まで、通産官僚として、日本の最前線で活躍されてきた方の本である。(経歴の詳細については、Googleして下さい)

この本の最後に、付論として「産業政策について」という部分がある。簡潔に、明治の開国以来の日本の産業政策のあり方について、描かれていて、勉強になった。

p.288の最後の段落が、僕には、印象的だ。

「これまで産業政策はまずまず成功をおさめ、わが国のほとんどの産業は国際市場で競争できるようになりました。いまや産業政策は廃止すべきでしょうか?通商産業省は解体すべきでしょうか?私たちはそう思いません。現在は、日本も、アメリカ、ヨーロッパも、『石油時代』から、『情報時代』へ飛躍する過程にあるというのが私たちの見方です。私たちはいまや歴史の分水嶺を越えようとしているのです。この歴史的偉業を遂行するためには、新しい技術の開発、国民の再教育、社会的、経済的、政治的制度の見直しなどが必要であり、さらに国民の価値観や倫理観を変革して新しい状況に対処する必要があります。先進工業国のこうした転換により、発展途上国の経済も、国際貿易の構造も大きな影響をこうむるにちがいありません。これはまさに地球的な規模での変革といえましょう。」

第10章は、「『坂の上の雲』と『坂の下の沼』」という題で、戦前の日本と、戦後の日本を比較しながら描かれていて、僕は、その先見性に驚かせられた章である。

戦前の途中までの、日本の「輝かしい」成長。(「輝かしい」時代の中でも、批判されるべき点は多いが)その後の、第2次世界大戦、特に、アジア・太平洋戦争への、「どうして、そのような事態に至ったのか不明な」転落。

戦後の1970年前半までの高度経済成長。

この論文は、1977年に書かれている。戦前と同じように、転落していくことが、示唆されている。


以上。時間切れ。
産業政策とか、日本の歴史とかに、興味がある方は、読んでみると良いのではないかと思います。

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